Law−Japan 司法書士法人 関根事務所

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破産の危険のある債務整理の問題点

当事務所は開業以来一切の訴訟代理業務(書面作成のみを除く)をしておりません。

平成29年2月15日債務整理専門の司法書士法人が破産しました。(負債額は約2億5千万円)https://www.tokyokai.jp/news/2017/02/post-198.html
破産の理由を考えてみたいと思います。
今後債務整理をしていた認定司法書士から大量の破産者が出るおそれがあります。

司法書士の訴訟代理権の範囲
  事例 解釈
総額説 A過払金50万円
B過払金50万円
C過払金50万円
D過払金50万円
E過払金50万円
総額140万円超なら違法とする説。

最高裁判所第一小法廷判決平成28年6月27日が個別説を採用しました。そのため総額説は違法とはなりません。
個別説 A過払金100万円
B過払金100万円
C過払金100万円
D過払金100万円
E過払金150万円
Eのみ140万円を超えたため違法。
Eを本人訴訟支援業務などとしても実質代理していれば違法。
Eの報酬が代理している場合と同額(成功報酬)などは実質代理とされ違法。
「Eだけはお客さんで交渉して下さい」とは
なかなか言えないかもしれません。
だからといって訴訟支援と書面だけ形式を変えて業務が出来るわけではありません。依頼者が自分で交渉している認識もない状況では違法行為です。
経済的利益説 A過払金150万円
→和解130万円
(経済的利益130万円)
B過払金150万円
→和解130万円
(経済的利益130万円)
C過払金150万円
→和解130万円
(経済的利益130万円)
D過払金150万円
→和解130万円
(経済的利益130万円)
E過払金150万円
→和解130万円
(経済的利益130万円)
経済利益が1件当たり140万円以下なのですべて合法と考え業務をしている司法書士がいます。
130×5=650万円の20%=報酬130万円
高額な報酬を取得していましたが

最高裁判所第一小法廷判決平成28年6月27日が個別説を採用しました。
A〜Eまで過払い金150万円のため全部140万円超で違法。
したがってこの方法による過去の業務はすべて違法行為であり、違法に得た報酬は全額不法行為による損害賠償の対象となり、また懲戒処分の対象となります。
司法書士業界では経済利益説で受任している司法書士が多くいました。
(最高裁判決が出た現在でも不法行為を知らない認定司法書士がいるようです。)

最高裁判所第一小法廷判決平成28年6月27日が個別説を採用したため経済利益説での業務は不法行為となります。
最大手の「司法書士法人新宿事務所(代表阿部亮司法書士)」の複数の司法書士に弁護士法(非弁行為)の疑いがあるとして,
大手信販会社が監督官庁である東京法務局に懲戒請求を申し立てたことが報道されています(H28.2.12朝日新聞)。

大阪高等裁判所判決平成26年5月29日は,
 司法書士が権限を越えて債務整理・過払金返還請求を行い報酬を受領した事案について,
 その業務は弁護士法72条に違反するため報酬を受領することはできない。
 その司法書士が受領した報酬134万円全額が損害になるとして,司法書士にその賠償を命じています。
 また,裁判書類作成業務しか行っていないのに,代理業務と同じ報酬を受領した場合にも該当すると考えられます。

 下記のような弁護士事務所も現れました。
 司法書士は140万円以上の過払い請求できません。
すでに報酬を支払った場合は返還請求できます(リンク先)。

 今までのクレサラ利息のグレーゾーンの過払い訴訟がありました。
 これからは司法書士業務範囲グレーゾーンによる司法書士への報酬過払い訴訟となったのです。

 判示している通り受任段階で経済的利益を判断することはできません。
 それを持って受任の判断基準とすることには無理があります。

 今後損害賠償の提訴や懲戒の申し立ては依頼人だけでなく
 相続人が遺産整理の中で高額な司法書士報酬の領収書を見つけたときなども考えられます。
 依頼者が納得しているから大丈夫ではありません。
 損害賠償の時効近くまでの法定利息はとてつもなく高額となります。
 不法行為による損害賠償責任の消滅時効は,加害者及び損害を知ったときから3年です。
(債務不履行による損害賠償ではありません)
 例えば、報酬を支払ってから10年後に、実は違法な報酬であると知った場合、
そこから3年で時効が成立するので、報酬を支払った日から13年間時効は成立しないことになります。
 この例で法定利息は5%×13年で65%にもなります。破産的なダメージでしょう。

 税引き後所得1,300万円の債務整理専門司法書士がいた場合の想定をしてみます。
 年間売上(報酬)1億 経営司法書士年収2,000万円税引き後所得1,300万円。
 (スタッフを大勢採用しそれなりに順調だと思ったかもしれません。)
賠償想定  10年後 売上(報酬)1億円+13年分の利息=1億6,500万円
1,300万円の手取り収入を得るために
 最悪の事態を想定した場合13年後に
 毎年毎年 1億6,500万円相当額の不法行為による損害賠償が請求されるかもしれません。
 業務遂行にあたり従業員に支払った給与・税金などの経費は返ってきません。
 破産に追い込まれるリスクが生涯つきまといます。
 懲戒に関しては時効がありません。また弁護士法による刑事罰に該当します。

 上記判決は不法原因給付により返還不要との望みも絶たれた判決でした。
 司法書士が合法であると確信している状況で素人の依頼者に不法行為の認識があるとは思えませんし当然かもしれません。

司法書士法第38条 (社員の責任)
1 司法書士法人の財産をもつてその債務を完済することができないときは、各社員は、連帯して、その弁済の責任を負う。
2 司法書士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときも、前項と同様とする。
3 前項の規定は、社員が司法書士法人に資力があり、かつ、執行が容易であることを証明したときは、適用しない。
 簡裁訴訟代理等関係業務を行うことを目的とする司法書士法人が
  簡裁訴訟代理等関係業務に関し依頼者に対して負担することとなつた債務を当該司法書士法人の財産をもつて完済することができないときは、第1項の規定にかかわらず、特定社員(当該司法書士法人を脱退した特定社員を含む。以下この条において同じ。)が、連帯して、その弁済の責任を負う。
  ただし、当該司法書士法人を脱退した特定社員については、当該債務が脱退後の事由により生じた債務であることを証明した場合は、この限りでない。
5 前項本文に規定する債務についての司法書士法人の財産に対する強制執行がその効を奏しなかつたときは、第2項及び第3項の規定にかかわらず、特定社員が当該司法書士法人に資力があり、かつ、執行が容易で  あることを証明した場合を除き、前項と同様とする。
6 会社法第612条の規定は、司法書士法人の社員の脱退について準用する。ただし、第4項本文に規定する債務については、この限りでない。

会社法第612条
退社した社員は、その登記をする前に生じた持分会社の債務について、従前の責任の範囲内でこれを弁済する責任を負う。
2 前項の責任は、同項の登記後2年以内に請求又は請求の予告をしない持分会社の債権者に対しては、当該登記後2年を経過した時に消滅する。
 不動産登記に関する損害賠償であれば退社の登記後2年で責任の無いことが明確となります。
 しかし、簡裁訴訟代理等関係業務に関しては退社の登記をしてもそれをもって賠償責任などが消滅することはありません。
 弁護士法違反業務での報酬返還債務は司法書士損害賠償保険の対象外です。

民事賠償・懲戒の他に弁護士法違反の刑事罰も該当します。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
弁護士法第七十二条  弁護士又は弁護士法人でない者は報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
(非弁護士との提携等の罪)
第七十七条  次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一  第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
二  第二十八条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三  第七十二条の規定に違反した者
四  第七十三条の規定に違反した者

当事務所は開業以来一切の債務整理案件をしておりません。
当事務所では最高裁判例などがなく解釈で行うような業務は一切しておりません。

例えば成年後見の申し立てはしますが、当事務所では成年後見人にはなりません
後見人の損害賠償範囲が不明瞭だからです。
以下 民法の初歩的な条文です。

(責任能力)
第七百十三条  精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。
(責任無能力者の監督義務者等の責任)
第七百十四条  前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

注) この条文は成年後見制度前の禁治産宣告制度当時の条文から改正されておりません。禁治産宣告当時は当然714条の監督する法定義務者に後見人が含まれることは通説でした。 その後、平成11年改正で民法858条は身上配慮義務へと改正されました。禁治産宣告制度と違うため後見人が当然に該当するか不明瞭となります。
 仮に認知症の老人が箸で子供の目を刺し失明させた場合、老人に責任なし、後見人の司法書士も責任なし、失明させられた子供・親族は泣き寝入りしなさいとの判決が出るとも思えません。
 職業として報酬を得ている司法書士」が賠償請求から守られ、被害者が泣き寝入りすると考え安全な後見人業務をしている認識が司法書士にあるのでしょうか。
 おそらく何も考えず、安直にリーガルサポートから簡単に仕事を回してもらえて技術も不要。誰でもできて簡単に報酬がもらえる。リスクに関しては、いつでも思考停止で考えたことはない。そんな状態ですから責任に関する条文もまったく知らない。
 「とりあえず簡単に収入が得られる。特に何も考えていません。」という司法書士を実際にみてきました。

 (なお、平成26年(受)第1434号,第1435号損害賠償請求事件平成28年3月1日第三小法廷判決は、被害者の原告が電鉄ということで電鉄が泣き寝入りする結果となりました。被告側には後見人はいませんでした。)
 リスクの不明瞭の大半は利益衡量判決ということです。

 原告 老人が線路内立入して亡くなった際の電鉄会社
 被告 後見人司法書士

 原告 老人に刺され失明した少女の親権者
 被告 後見人司法書士

 原告 老人に刺され死亡した少女の親権者
 被告 後見人司法書士


デタラメな業務を繰り返しているとそれが当然に感じてきます。
集団心理から人員の多い事務所では高リスク業務に関して麻痺するスピードが早まります。
本人確認では自動車運転免許証をながめてなんとなく本物。権利書の法務局の印影すらチェックをしません。
これで普通に本人確認の仕事をしているつもりになっています。
ほとんどの司法書士が現在の業務のやり方で不動産詐欺を防止できるかどうか、思考は停止して考えることはしません。
ほとんどの司法書士が他の司法書士と同じことをしていればそれで良しとします。
司法書士の相当数が法律家として正確な法令判断・リスク回避思考が停止しているかもしれません。
就職において、経営者がリスク管理をしているかどうかは重要な要素です。
自分自身がトラブルに巻き込まれることを防止できれば当然顧客を守ることもできます。




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